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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第68回 メシエ天体を見よう

メシエはM?

M45プレアデス星団:
和名は「すばる」を代表格に各地でいろんな名前を持っている。古来より親しまれてきたこの星団は西洋でもギリシャ神話に7人の姉妹として登場します。メシエ番号は45番。よく見ると星の周りに青白い星雲が取り巻いている様子がこの写真でわかります。2009年2月14日千葉県立清和県民の森で撮影)

M31オリオン大星雲:
オリオン座の中にあって最も有名は星雲。鳥が羽根を広げたような姿は天体望遠鏡で見てもとても印象に残る美しい星雲です。2009年2月14日千葉県立清和県民の森で天体望遠鏡にデジタル一眼レフカメラボディを使用して撮影)

天体の中で星雲、星団にM31といったように「M」がついているのをご存じですか?
テレビドラマのウルトラマンシリーズでは、「ウルトラマンはM78星雲からやってきた」という設定になっています。いったいこの「M」って何なのでしょうか?
これは19世紀のフランスの天文学者シャルル.メシエ(Charles Messier 1730-1817)が彗星を捜索するときに、彗星とまぎらわしい天体である星雲、星団を観測してカタログをつくったときの記号なのです。
メシエのつくったカタログには番号が1番から110番まであり、いくつか不明の天体もあり、一般的には108個の天体をM天体と称して、入門向きな星雲、星団として親しまれています。
シャルル.メシエが観測に用いた天体望遠鏡は主に口径9センの望遠鏡を用いましたから、現在のアマチュア用の一般的な天体望遠鏡とほぼ同口径です。すなわち、私たちが市販の一般的な天体望遠鏡を所有すれば、たいていのM天体を見ることができるのです。
特に3月頃の新月に近い夜は、夕方から明け方までM天体をさがすと108個のすべてを見ることができ、各地でメシエ天体をみる催しが開催されます。
M天体を数多く見ることを競技化にしているイベントもあり、メシエマラソンと呼ばれて各地で3月頃に開催されます。
私の所属する関東天文協会でも群馬県の神津牧場天文台でメシエ観望会を開催します。
下表のとおり、3月28日土曜日午後6時からおこなわれますので、ご来台いただければ心ゆくまで星雲、星団を観望できます。

予約不要、入場料は無料ですので、ぜひご都合をつけていらしてください。お待ちしています。
メシエ観望会のご案内
とき: 2009年3月28日(土曜日)午後6時から
場所: 群馬県甘楽郡下仁田町南野牧 神津牧場天文台
電話: 0274−84−2655(当日午後のみ連絡可)
注意事項: 天文台は神津牧場の敷地内にあり、町中からは約30キロメートル山間部に入った長野県境にありますので、道に迷わないように明るい内にマイカーなどでお越しください。なお、牧場内につきペットの持ち込みはご遠慮ください。


3月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 4.1  
2 5.1 火星と水星が接近(昼間)
3 6.1 プレアデス星団の食(月に隠される)
4 7.1 上弦の月
5 8.1 啓蟄(二十四節気) 月が最北
6 9.1  
7 10.1  
8 11.1 月の距離が最近
9 12.1  
10 13.1  
11 14.1 満月 月が天の赤道を通過(南半球へ)
12 15.1  
13 16.1  
14 17.1  
15 18.1  
16 19.1  
17 20.1 さそり座のアンタレスと月が接近
18 21.1 月が最南
19 22.1 下弦の月 月の距離が最遠
20 23.1 春分(二十四節気) 土星の衛星タイタンが土星の影に入る
21 24.1  
22 25.1  
23 26.1 月が木星と接近
24 27.1 月が火星と接近
25 28.1 月が天の赤道を通過(北半球へ)
26 29.1  
27 0.5 新月
28 1.5 金星と月が最接近
29 2.5  
30 3.5 月とすばる(M45、プレアデス星団)が接近
31 4.5  

3月の星座

梅の花もすっかり咲きそろい、だんだんと暖かくなってくる季節です。3月の関東地方では西高東低の寒い日は晴天の夜が多く星がきれいに見えますが、暖かい日は曇りのことが多く、そういった日は残念ながら星空を見ることができません。
3月の夕空にはまだ冬の星座が君臨していますが、夜半を過ぎた頃に夜空をあおぐとすっかり春の星座に様変わりしています。
天高くしし座には土星が輝き、細くなった環が天体望遠鏡では線状にかろうじて見られます。星座を見つけていくときは、おとめ座やおおぐま座など代表的な星座からさがしていきましょう。

3月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2009年3月6日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。