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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)

第69回 今年の土星の環は?

土星の環が見えなくなる?

4月の星空でもっとも注目する星は土星です。
土星は南の空高くしし座の中にあり、しし座の1等星レグルスよりも明るく輝いていてとても目立ちます。
土星は約29.5年周期で太陽の周りを公転していますが、土星の環は公転軸と平行ではないため、年月の経過とともに環の姿の変化を楽しむことができます。
つまり、環の姿が、地球から見て幅広に見えたり、細い一本の棒のように見えたりするのです。今年は環が細い棒状に見える年で、8月11日と9月4日にはいったん環が消失するように見えなくなります。
土星を天体望遠鏡で見るチャンスがあればぜひこの細い環を確認しましょう。

2009年3月28日の土星の姿

2007年4月14日の土星の姿

ふたつの写真を比べると2年間の間に土星の環の傾きが大きく変化したことがわかります。いずれも神津牧場天文台の76センチ反射望遠鏡を使って撮影しました。

土星は南の空高く輝くしし座の中にあり、レグルス以上に明るく輝いていますのでぜひみつけましょう。

ルーリン彗星情報

2月24日に地球に最接近したルーリン彗星は双眼鏡でも見られる明るさに輝きましたので、見られた方も多いのではないでしょうか。新聞報道などで彗星の神秘的な写真をご覧になった方も多くいらっしゃることと思います。
ルーリン彗星はその後、地球から遠ざかっていく中で明るさは急激に暗くなってしまいました。
最新の画像をお届けします。3月28日に群馬県の神津牧場天文台で撮影したものです。もう双眼鏡ではみつけられないほど暗くなってしまいましたので口径76センチ反射望遠鏡でとらえ、撮影しました。

ルーリン彗星が地球から遠ざかっていく様子で、尾は地球と反対側の方向に伸びているので見ることができません。

4月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 5.5 月が最北
2 6.5 上弦の月 ふたご座ε星の星食 月の距離が最近
3 7.5  
4 8.5  
5 9.5 清明(二十四節気)土星の衛星タイタンが土星の影から出現
6 10.5  
7 11.5 月が天の赤道を通過(南半球へ)
8 12.5  
9 13.5 満月
10 14.5  
11 15.5  
12 16.5  
13 17.5 さそり座アンタレスと月が接近
14 18.5 月が最南
15 19.5  
16 20.5 月の距離が最遠
17 21.5 下弦の月
18 22.5  
19 23.5  
20 24.5 穀雨(二十四節気)月と木星が接近
21 25.5 土星の衛星タイタンが土星の影から出現
22 26.5 月が天の赤道を通過(北半球へ)
23 27.5 月、金星、火星が並んで見られる
24 28.5 金星と火星が最接近
25 29.5 新月
26 1.0 水星が東方最大離角(明け方見られる)
27 2.0 月とすばるが接近
28 3.0 月の距離が最近 月が最北
29 4.0  
30 5.0  

4月の星座

4月は上旬に桜(ソメイヨシノなど)が満開となりやがて散り、次に八重桜が咲いて新緑の季節となります。暖かさも日々増してくる季節です。
夜の星見も防寒対策などの重装備はいらなくなり、気楽に星を眺められるようになります。
春の星空は、湿度が高く空気中の水蒸気が増えますので、空が少し寝ぼけたようなというかはっきりしない日が多くなります。微光星が見にくくなり、低空では明るい星さえも頼りなげな光になってしまいます。低空がぼやーとしているときは、高度の高い部分を中心に星座をさがすといいでしょう。
天上高く北の空には北斗七星が輝いていますので、そのひしゃくの曲がり(カーブ)を南に伸ばし、うしかい座の1等星アークトゥルスを見つけ、さらに伸ばしておとめ座の1等星スピカをみつけましょう。
その他の星座も、星図をプリントアウトして実際の空で確認しながらさがせば効率よくさがすことができます。また、星座早見盤(市販されています)を使ってさがすと効率よく見つけられますので、そちらもお奨めします。

4月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2009年4月7日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。