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ちあきの星空コラム 田中千秋(たなかちあき)


第78回 火星の接近

1月28日火星接近

超大接近時の火星 2003年超大接近時の火星

1月下旬ごろの火星の位置

1月下旬頃の火星の位置

今年の冬は火星の観測シーズンです。
2年2か月振りに地球と火星が接近し合うので、日頃は小さな点にしか見えない火星の姿を久々に大きく見ることができます。
今回の最接近日は1月28日で、2003年の超大接近にくらべたら小接近ともいえますが、今回も十分観測を楽しむことができるでしょう。
火星は、他の星にくらべて赤く、とても明るく輝いて見えますので、夜空の中ですぐにみつけることができます。1月初めはしし座にあり、やがてかに座に移動していきます。 肉眼による観察では、毎日、星座の星と火星の位置をチェックし、位置を星図に書き込むと移動していく様子を確認できます。
天体望遠鏡では、高倍率(100倍〜200倍)で観測すると詳細まで見えてきます。

写真撮影では、表面の模様まで描写できるようにチャレンジしてみましょう。

すばるの輝き

冬の空でひときわ輝く星団は、すばるです。
おうし座の中にあり、他の星と違って複数の星が集まって輝いていますのでみつけやすく、良く観察すると6個の星の集団だということがわかります。
西洋ではプレアデス星団と呼ばれ、メシエ天体番号はM45です。双眼鏡で見れば6個の星の他にもたくさんの星が集まっている星団であることがわかり、天体望遠鏡ではさらに多くの星の存在が確認でき、青白い星の大集団であることがわかります。
近くにおうし座の1等星アルデバランを含むヒヤデス星団もあり、みつけやすい星団ですからふたつの星団をさがしてみましょう。

ヒヤデス星団とプレアデス星団

ヒヤデス星団とプレアデス星団。この写真は2005年1月5日にマックホルツ彗星が接近したきに撮影したものです。

1月の天文情報

曜日 月齢 天文現象など
1 15.6 元旦 満月(部分月食)
2 16.6 月の距離が最近
3 17.6 地球が近日点通過(太陽視直径32′35″)
4 18.6 しぶんぎ座流星群極大
5 19.6 小寒(二十四節気) 月が天の赤道を通過(南半球へ)
6 20.6  
7 21.6 下弦の月
8 22.6  
9 23.6  
10 24.6  
11 25.6 成人の日
12 26.6 月が最南
13 27.6  
14 28.6  
15 29.6 新月
16 0.8  
17 1.8 月の距離が最遠
18 2.8  
19 3.8  
20 4.8 大寒(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
21 5.8  
22 6.8  
23 7.8 上弦の月
24 8.8  
25 9.8  
26 10.8  
27 11.8 月が最北
28 12.8 火星の最接近日
29 13.8  
30 14.8 満月
31 15.8 火星が衝

1月の星座

冬の星座がきらめく季節です。寒空にきりっと引き締まった星の輝きは眺めて美しく、きらきらと瞬く様は何か語りかけてくれているような気がします。
おうし座、ぎょしゃ座、ふたご座、オリオン座、こいぬ座そしておおいぬ座などが輝き、星を数えたり星座を覚えたり、星空への興味は尽きません。
星図をたよりにじっさいの星空で確認してみましょう。

1月の星座案内図

星図(黒地) 星図(白地)

※それぞれの図をクリックすると、大きい星図に変わります。印刷される場合は、A4用紙を横にしてください。

※このコラムで使用している星図は、(株)アストロアーツの天文シミュレーションソフトステラナビゲータ.8から出力し、加工したものを使用しています。

2010年1月8日

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。