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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第8回 春の水辺へ

五月も中旬になると、つくばの街の木々は若葉を広げ、薄い黄緑から濃い緑色までの色の変化に驚かされます。街中のいろいろな場所でも、鳥達のさえずりが聞こえ、恋の季節が最盛期になってきました。夜に耳を澄ませると、自動車の音に混じってカエルの合唱が遠くから聞こえてきます。南の国からツバメ達も帰ってきて、家の軒の下の巣に一生懸命エサを運んでいます。里山では、サシバも木の上で、田んぼのカエルやヘビを狙っているのを見ることができます。

今回は、つくば市内からちょっと足を延ばして、日本で二番目に大きな湖の霞ヶ浦の湖岸でバードウォッチングをしてみましょう。一番近い土浦市の手野の湖岸は、アシ原が続いています。アシ原に近づくと、「ギョギョシ、ギョギョシ」とオオヨシキリの声がいろいろな場所から聞こえてきます。声の主を捜してみると、オオヨシキリはアシの茎に器用に止まり、大きな口を開け、赤い口の中を見せながら鳴いています。

ヒバリが空高く上がって、ホバリングしながら鳴いています。セッカが「ヒッ ヒッ ヒッ ヒッ」と飛び上がり「チャチャッ チャチャッ」と降りてきます。アシ原の上を茶色の小さなヨシゴイやツバメが飛んでいます。アシ原の中には、シジュウカラ、メジロ、ウグイスなどが隠れています。

湖の水面には、黒い体で額が白いオオバンや水に潜って魚を捕まえているカイツブリが見えます。「キリリリリ」という声はカイツブリの鳴き声です。陸地の側を見ると蓮田が広がっています。蓮田には白い色の大小のサギが泥の中で餌を探しています。

首が長くて一番大きなサギがダイサギで、嘴の付け根のところが青緑色に見えます。中くらいのサギが、チュウサギで目元が黄色に見えます。一番小さなサギがコサギで、黒い脚に黄色の靴下を履いたように見えます。

蓮田の中や周囲の畦を注意深く探すと、タシギやシロチドリなどが隠れています。運が良ければ、遅い渡りの途中に蓮田で栄養補給中のムナグロ、エリマキシギ、ツルシギなどに会えるかもしれません。

霞ヶ浦の堤防の上を車で走ると土浦市からからかすみがうら市(旧霞ヶ浦町)まで、ずっと蓮田が続いています。蓮田のの広がりを見ると、霞ヶ浦周辺は日本一のレンコン産地だということが実感します。バードウォッチングの帰りに県道118号線(石岡田伏土浦線)に出て、道路沿いのJAの「れんこんセンター」で新鮮なれんこんをお土産にしてもいいでしょう。バードウォッチングでお腹が空いたら手野の「うなぎの山中」のうな重がおすすめです。

バードウォッチングは鳥を見るだけではなく、風景や食べることも楽しみの一つではないでしょうか。ふらっと寄った農産物直販所で、旬の野菜を見つけたり、地元の人しか知らないおいしい店があったりと意外な出会いもあります。見たい鳥を見つけられなかった時のお楽しみもあったほうがいいでしょう。

さて来月はどこに鳥を見に行きましょうか・・・・・・・・

【ワンポイント・メモ】私を拾わないで

野鳥の子育てのシーズンで問題になるのは、巣立ったばかりのヒナの誘拐事件です。巣立ったばかりのヒナは、まだよく飛べないので人の目の前にでてきてしまいます。

それを見た人は、巣から落ちたのではないかと思い込み、可愛そうと、保護するつもりで、連れ帰ってしまうことがあります。ところが、親鳥が見えないところでやきもきして見ています。

巣立ちビナを見つけたら、そのままにして立ち去ってください。猫が狙っているようでしたら、高い木の枝にのせておいてください。ひとがいなくなったら親鳥がヒナを連れにきます。

詳しく知りたいひとのために「巣立ちビナ対応マニュアル」を用意していますのでご覧ください。

今年も日本野鳥の会では「ヒナを拾わない で」キャンペーンを実施しています。

2005年5月9日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事