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つくばでバードウォッチング 片山 秀策 | ![]() |
第10回 ムクドリの塒(ねぐら)
よく「嘴が黄色いくせに、大人の話に口をだすな」といった風にいいますが、本当に巣立ちビナの嘴の根元や縁が黄色く見えます。シジュウカラやハクセキレイの若鳥は、成鳥で顔の白部分が黄色味を帯びています。ムクドリは親よりも体が明るい色です。 羽を下げて体を震わせて親に餌をねだる仕草も、幼い感じです。飛び方もまだぎこちなく、人や猫が近づいてもボーッとしていて、親がだす警戒音で慌てて飛び立ちます。沢山のヒナが巣立ちますが、来年の春まで生き残ることができる個体は、一割にも満たないといわれています。野生で生き残るのは大変なものですね。
周辺の農耕地にたくさん林があるのに、なぜか街の中の街路樹に集まってきてしまいます。街灯があって明るくて、ちょっとにぎやかな感じの場所を選んでいるようです。ちょっと暴走族と似ていますね。 夏に塒を作るのはムクドリだけではなく、スズメ、ツバメ、カラスも塒を作ります。沢山集まって休むことで、外敵が来たときに素早く気が付き身を守ることができるからだといわれています。
以前は、洞峰公園の北側の駐車場に巨大な塒がありましたが、追い出し大作戦の結果、今は市内の数カ所に塒ができているようです。昨年は、西武から郵便局の間の街路樹にも塒がありました。行く先々で嫌われて、木の枝が払われたり、ムクドリの警戒音のテープをかけたりと追い出されているので、今年はどのあたりにできるでしょうか。夕方、塒の下は、おそろしい糞爆弾が落ちてきますので、近づかないのが賢明のようです。 つくば市のムクドリの塒を調べた友達の話ですと、ムクドリ1000羽くらいに1羽コムクドリが混じっているということです。電線にムクドリが沢山とまっているのを見つけたら、その中にちょっと小さいムクドリを探してみてください。コムクドリは、頭から胸にかけて灰白色で、頬紅がポイントのムクドリよりもきれいな鳥です。 1000羽に1羽といえば、江戸時代に土佐の国(今の高知県)に野中兼山という武士のことを思い出します。野中兼山は、ムクドリは害虫を食べてくれるということで保護しなければいけないと「ムクドリには千羽に一羽毒がある」という御触れを出したそうです。それ以来、「ムクドリには毒がある」と思われるようになって、ツグミのように食べるために捕獲されなくなったという話があります。
【ワンポイント・メモ】英語の鳥の名前 つくば市には、研究所や大学で働く外国人とその家族が沢山住んでいます。外国人と知り合いになったときに、鳥の名前を英語で教えることができたら楽しいと思いませんか。特に、身近な鳥のセグロセキレイとかキジは、日本にしかいないので外国から来たバードウォッチャーに教えてあげると非常に喜んでくれます。 英語の名前「英名」は、鳥名事典や一部の図鑑に載っていますが、ウェブ上で簡単に探すことができます。今回紹介するものは、つくば市でコンピュータのシステム開発をされている内田さんがボランティアで作ってくれた検索システムで、和名から英名、学名を探すこととが簡単にできますし、その逆も可能です。外人向けの英語版もあります。英語版では和名(日本での名前)をローマ字表記になっています。ちょと便利ですよ。 http://www.atori.co.jp/birds/dic/indexl 2005年7月11日 |
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片山秀策さんのプロフィール | ![]() |
死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。 日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事 |