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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第17回 カモメを見に行こう

朝晩寒い日が続いていますが、日の出が早く、日の入りが遅くなって、春が少しずつ近づいているのが感じることができるようになってきました。東北、北陸地方の雪が例年になく多いので、餌が摂れないハクチョウやカモが雪の少ない地方で越冬するために移動しています。2月15日で狩猟期間が終わります。これで越冬中の野鳥も安心して、繁殖地に帰る準備に入ることができるでしょう。

茨城県は、自然環境の変化に富んでいますが、つくばに暮らしていると意外に気が付かないのが、海が近いことです。茨城県の東側は、太平洋に面していて、荒磯から砂浜まで変化に富んだ長い海岸線になっています。そのため、カモメを始めとする多くの種類の海鳥を見ることができます。

北の海から越冬するために海鳥が南下してくる冬が海鳥のシーズンになります。寒風が吹き抜ける海岸に立って、波の間に見え隠れするウミスズメやマダラウミスズメといったウミズメ類や、オオハムなどのアビ類を探すのはとても大変なので、比較的楽に観察することのできるカモメの仲間を捜すことにしましょう。茨城県の海岸では、およそ10から12種類のカモメを比較的普通に観察することができます。

日本で○○カモメと呼ばれる鳥は、ウミネコを入れて25種類記録されていますから、ほぼ40%を見ることができるということです。種類としては、見ることのできる確率の高い順に並べると、ユリカモメ、セグロカモメ、ウミネコ、オオセグロカモメ、カモメ、ミツユビカモメ、ホイグリンカモメ、シロカモメ、ワシカモメ、カナダカモメ、トウゾクカモメ、アイスランドカモメでしょう。このほか、ヒメクビワカモメ、ワライカモメなどの珍鳥も記録があります。

カモメを観察するには、漁港や河口が適しています。関東のバードウォッチャーの間では、波崎町と銚子市の漁港と海岸がカモメウォッチングで有名な場所となっています。利根川や海には非常に沢山のカモメがいます。海に浮かぶカモメや漁船の回りを飛び回るカモメは沢山いますが、種類を見分けることが難しいと思います。

波崎漁港の漁船に群がるカモメ
波崎漁港の漁船に群がるカモメ

簡単なのは、漁港で堤防や護岸の上で休んでいるカモメを見ることです。数百から数千のカモメがいますので、そのカモメを一羽ずつ見ていくと、色々なカモメを見つけることができます。海岸では、運が良ければトウゾクカモメが、海の上でセグロカモメやウミネコがくわえている餌を奪おうと襲いかかっているのを見ることができます。

利根川の堤防で休んでいるカモメ
利根川の堤防で休んでいるカモメ

カモメは、一見すると同じように見えますが、体の大きさ、羽の色、嘴の色、脚の色など識別点を覚えると見分けることができるようになります。カモメは、成鳥になるのに数年かかるので、若鳥の識別は難しいことがおおいようです。野鳥図鑑の他に「カモメ識別ハンドブック」(文一総合出版)のような識別ガイドを1冊持っているとよいでしょう。

初心者向けのカモメ識別ガイドのページがあります。日本で良く見ることのできる8種類のカモメの識別を解説しています。波崎・銚子のカモメの情報と写真のサイトがありますので、出かける前に見ていくとよいでしょう。海まで出かけなくても、霞ヶ浦でもユリカモメ、セグロカモメ、ウミネコ、オオセグロカモメ、カモメなど5種類ほどのカモメを見ることができます。

ウミネコ
ウミネコ
カモメ
カモメ
セグロカモメとオオセグロカモメ
セグロカモメと
オオセグロカモメ
(背中の色に注意、濃い方がオオセグロカモメ)
シロカモメ
シロカモメ

↑それぞれクリックすると、大きい写真が表示されます。

2006年2月13日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事