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つくばでバードウォッチング 片山 秀策 | ![]() |
第18回 3月の野鳥
昼間の時間が長く、暖かくなってきました。でもこの時期は、三寒四温というように、温かい日と寒い日が入れ替わりになっていて、不安定になっています。といっても春分の日を過ぎるともう春は目の前です。桜の花が咲くのが楽しみになってきます。 日本各地で越冬していた鳥達も、繁殖のシーズンが近づいてきたのを感じて、そわそわし始めています。ツルやガン、ハクチョウなどの大型の鳥達は、もう北帰行を始めました。茨城県内のガンやハクチョウは三月末には見ることができなくなります。大型の鳥はエネルギーが必要なので、何カ所かの中継地で休んで餌を摂りながら旅をするので、早めの旅立ちになるのでしょう。カモ達もそろそろ出発し始める頃になります。やはり、大型のカモのほうが早く旅立つようです。四月になっても残っているのは、小型のコガモになります。ツグミなどの小鳥たちも桜が満開になるころには、繁殖地に向けて出発することでしょう。 つくば市とその周辺で暮らすスズメやムクドリなどの鳥達も春を迎えて嬉しそうです。スズメやシジュウカラなどの鳥達の声が心なしか明るく、優しくなったような気がしませんか。シジュウカラは巣になりそうな場所を探しています。気の早い鳥が、巣材を運んでいませんか。 冬にキッキッと鳴いていて縄張りを主張していたモズは、全く鳴かなくなりました。常緑樹の中に巣を作って、そろそろ卵を抱いている頃でしょう。多くの鳥の繁殖期は初夏ですが、モズは早春に子育てをして、終わったら山に移って夏にももう一度繁殖するといわれています。去年は、私の家の裏庭でモズが子育てをしていました。それも、窓から2mほど離れたネズミモチの木の中でした。 フクロウも繁殖期に入っていて、雄と雌がゴロスケホウと鳴き交わしているのが聞こえる頃になりました。大きな木の洞に巣を作ります。普通は、林の中や公園を夜に歩くことはあまりないので、ほとんどの人は気が付かないのですが、意外と身近でフクロウが暮らしています。フクロウは、五月の連休の前後にヒナが巣立つようです。 【ワンポイントメモ】気が付くと巣が 転勤のシーズンか近づいてきました。長く人が住んでいない家では、換気扇やガス湯沸かし器などの排気口に鳥が巣を作っていることがあります。巣材は藁など燃えやすいものが多いし、排気口を密閉することがあるので、滅多にあることではありませんが、ガスの不完全燃焼や火事の心配がありますので、一応見回っておくと良いでしょう。また、長期に不在にした時にも注意しておきましょう。 ついでに、アパートやマンションのベランダは、ドバトが繁殖する恰好の場所になっています。ドバトがくると洗濯物が糞で汚されたり、ハダニが出たりとこまったことになります。ベランダにはものを置かないことが肝心です。もし巣を作られたら直ぐに排除することです。卵があっても心を鬼にして取り除きます。一度繁殖を許すと、何度でもやってきます。 2006年3月20日 |
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片山秀策さんのプロフィール | ![]() |
死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。 日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事 |