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つくばでバードウォッチング 片山 秀策 | ![]() |
第19回 シギとチドリの仲間を探す
桜前線がつくば市を通り過ぎて、葉桜の季節になりました。昔、つくば市の中心部は、雑木林だったので、公園や歩道の隅に色々な野草を見ることができます。この時期は、各種のスミレの花を見ることができます。 つくば市と周辺の公園の池のカモは、もうほとんどいなくなって、コガモとカルガモが残っているくらいでしょう。反対に夏鳥のツバメがそろそろ帰ってきてくるのではないでしょうか。 四月になると南の越冬地から北の繁殖地に向かう途中の旅鳥たちが姿を見せてくれます。その中には、なかなか見ることのできない珍しい鳥が混じることがあります。ですから、この季節になるとバードウォッチャーは、そわそわすることになります。特に、つくば市周辺の水田や蓮田に来るシギとチドリの仲間の中には、非常に珍しい鳥が混じることがあって、関東一円から多くの人が集まります。バードウォッチャーの間では、シギとチドリの仲間のことを「シギチ」と縮めていいます。 今月は、土浦市沖宿からかすみがうら市(旧霞ヶ浦町)戸崎までの蓮田で、シギチを探してみましょう。土浦駅の東側を通る県道263から土浦市湖北の霞ヶ浦流域下水道の浄化センターの横を通って霞ヶ浦の堤防を走る道路にでることができます。この道路で、かすみがうら市戸崎に向かいます。 霞ヶ浦の岸寄りには、コガモやオオバンの群れがいます。コガモの中にシマアジという珍しいカモが混じっているかも知れません。湖面には、頭が黒い夏羽になったユリカモメが飛んでいます。湖岸のアシ原では、オオヨシキリが「ギョギョシ、ギョギョシ」とさえずっています。蓮田にはコサギ、チュウサギ、ダイサギが餌を探しています。 道を進んでいくと、左側に沖宿の蓮田が広がってきます。車を止めて、双眼鏡で蓮田の中と畦の周囲を動くものを探して戸崎まで移動します。くれぐれもよそ見運転しないようにしましょう。動くものを見つけたなら、望遠鏡で確認してみましょう。 水深の浅いところには、お腹が黒くなりかけたハマシギの群れやコチドリ、ムナグロが、水深の深いところにはツルシギ、エリマキシギ、タカブシギ、アオアシシギなどが餌を探して動き回っています。畦のあたりには、タシギ、キョウジョシギが隠れているかも知れません。 ツルシギは、遠くからは真っ黒に見えるのですが、よく見ると羽に白い斑点があって、赤い足と赤黒い嘴で、とてもきれいです。英名では、Spotted Redshankといいますが、特徴がそのまま名前になっています。秋の渡りの時には、地味になっていて、あまり見ることができませんので、春の鳥といえるでしょう。 エリマキシギは、夏羽がエリマキのようになるのですが、この辺りでは完全な夏羽を見ることは難しいようです。図鑑を見ると、夏羽はびっくりするようなエリマキです。この鳥は比較的珍しいので、人気があります。時々、夏羽に変わりかけの個体を見ることができます。 じっくり探すと、ハジロコチドリ、ヨーロッパトウネンなどにも出会えるかもしれません。シギチではありませんが、胸が黄色のツメナガセキレイを見つけることができれば、大吉となるでしょう。 この時期はハスの植え付け作業をしているので、邪魔になります。それと、農道は狭い所も多いので、車は堤防の路肩に止めて、蓮田の間の農道には車で入らない方がよいと思います。 大事なことを忘れていました。4月の第三日曜日は霞ヶ浦マラソン大会があって、このエリアは通行止めになりますので、行かないほうが良いでしょう。 【ワンポイントメモ】ものさし鳥 バードウォッチングをしていると識別の目安になるものとして、鳥の大きさがあります。ところが、慣れないと大きさはわかり難いものです。特に、双眼鏡で見ていると、実物よりも大きく見えるものです。といって捕まえて大きさを測る訳にもいきません。 2006年4月17日 |
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片山秀策さんのプロフィール | ![]() |
死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。 日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事 |