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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第20回 子育ての季節

今年も5月10日から16日までバードウイークでした。この時期は、野鳥の繁殖シーズンになることから1950年(昭和25年)に野鳥を愛護する週間として環境庁が制定しました。バードウイークとは関係なく、季節は巡り、つくば市内でも野鳥が繁殖の季節に入りました。自然というのは正直なもので、冬が寒かったのと、春先の不順な天候の影響が野鳥の子育てにもでているようです。

ハシボソガラスの巣立ちは、去年よりも10日くらい遅れているようで、親鳥が餌をくわえて飛んでいます。毎年観察していた牛久のフクロウも2週間ほど遅く巣立ったようです。他の鳥にも影響があるのでしょう。

それでも、スズメやムクドリの巣立ちビナを散歩途中の公園で見かけるようになっています。スズメの巣立ちビナや若鳥は、全体に色が薄く、ほほの黒いパッチもはっきりしません。それと、くちばしの横をよく見ると黄色い部分が残っています。昔から、若僧のことを「くちばしが黄色いくせに」といいましたが、まさにその通りです。シジュウカラやハクセキレイの若鳥は、親鳥の顔の白い部分が、黄色味を帯びていたりします。

巣立ったばかりのヒナは、上手に飛ぶことはできないし、自分で餌を採ることもできないので、しばらくの間親鳥が餌を運んできます。そんな時、親鳥に向かってヒナが体を震わせて餌をねだっている様子は、見ていると本当にかわいいものです。親鳥でなくても、餌をあげたくなってしまいます。散歩の途中でも、注意してみていると、そんな光景を目撃できるものです。

5月も末に近づいてきて、ウツギの白い花が咲く頃になると、ホトトギスとカッコウがつくば市内にもやってきます。かれらは、他の鳥の巣に卵を産んで子育てを任せてしまうので、託卵相手が巣を完成させ卵を産む頃をねらって、ちょっと遅めにやってくるのでしょう。今年は5月11日の早朝に並木でホトトギスの鳴き声を聞きましたが、例年は20日過ぎですので、もっと北に向かう途中なのかもしれません。

第8回に一度書きましたが、この時期には、沢山のヒナが巣立つので、中には人の目の付くところに出てきてしまうことがあります。通りがかった人が、親にはぐれた迷子の可哀想なヒナと思いこんで、保護したつもりで誘拐してしまうことが起こってしまいます。

実は、ヒナの近くの見えないところで、親鳥が人が早く行ってしまわないかと、はらはらして見守っているのです。ですから、そのままにしてさっさと立ち去るのが一番なのです。もし、猫が狙っていると思うのでしたら、ちょっと高い枝に止まらせてください。

ヒナを保護して育てることができても、人に頼って暮らしてしまうと、野生に戻すことは難しいことが多いのです。ということで、絶対に誘拐事件を起こさないようにお願いします。

【ワンポイントメモ】バードウォッチングの雑誌

バードウォッチングをして少し経つと、色々な知識を増やしたいとか、新しい情報が欲しくなってきます。そんな時にバードウォッチングの専門誌があるので、それを利用するのが良いと思います。

現在日本で刊行されているバードウォッチングの専門誌は、『バーダー』という月刊誌です。季節に合わせた特集、野鳥の基礎知識、環境保護の情報、コラム、本の紹介など内容が豊富で、見るだけでも楽しめると思います。

この雑誌は、つくば市内の書店にはだいたいありますので、定期購読する前に一度立ち読みしてみるといいでしょう。

2006年5月22日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事