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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第25回 ドングリ異変?

朝晩の気温が寒いと感じる日が増えてきました。紅葉前線もどんどん南に降りてきていて、冬が駆け足で近づいているようです。国内の各地からハクチョウやガン飛来のニュースが届き始めました。これから、日本で冬を過ごす鳥達が次々とやってくるでしょう。去年、家の庭に来たアカハラがまた来てくれるのだろうかと気になっています。

つくばの街でも、モズが木のてっぺんで「キー キー」と高鳴きを始めています。公園のアメリカハナミズキの葉が赤くなっていたり、イチョウの葉が黄色みを帯びてきたりと、秋が深まっています。

最近、公園を散歩していると頭の上をカラの混群が通っていくようになりました。冬になると、シジュウカラ、エナガ、メジロ、コゲラが群れを作ることがあります。これを「カラの混群(こんぐん)」と呼びます。木の葉が落ちて隠れるところがなくなるので、群れになることで外敵を監視する目を増やして、身を守るためといわれています。

カラの混群の先頭は、「チュリ チュリ」とか「ジュリ ジュリ」鳴きながらエナガがやってきます。その後ろからメジロやシジュウカラが続きます。しんがりは何故かコゲラで「ギー」と鳴きながら遅れがちに付いてきます。混群が来たときに注意して見ていると、個体数は少ないのですけれど、ヒガラやキクイタダキが混じっていることがあります。注意が肝心ですね。

今年はカラの混群の中に、ヤマガラが頻繁に見られています。ヤマガラがつくば市の中心部で見ることができるのは、毎年ではなく数年おきのことが多いのです。それは、ヤマガラは、カラの仲間としては体が大きくドングリを食べることに関係しているようです。どうも筑波山のドングリ類が不作の年は、平地に降りてくるようなのです。

ヤマガラ
ヤマガラ

散歩の時に、公園のドングリ類の実を探してみましたが、いつもの年には歩きづらいほど落ちているドングリが、今年は少なめのようです。今年は7月が低温で寡日照、8月になって小雨、高温ということで、ドングリ類が不作になっているのではないでしょうか。ドングリ類は、通常「隔年結果」といって豊作の年(表年)は木が弱って、次の年には不作(裏年)になるといわれていて、今年は裏年で、さらに天候の影響と重なってさらに不作ということなのでしょうか。

同じようにドングリ類が大好きなカケスも、今年はたくさん山を下りてきているようです。カケスは、ハシボソガラスよりも小さく、茶色で腰の辺りが白く見えるので判ると思います。洞峰公園などで「ジェー ジェー」という鳴き声が聞こえたらカケスです。地面に降りて、ドングリを丸呑みしている姿が見られるかもしれません。

取手では、亜高山帯に住むホシガラスが目撃されています。ちょっと前になりますが、ブナの実が大好きなホシガラスが、筑波山頂でブナの実を食べて越冬したことがあります。このときも北の山のブナの実が不作だったと聞いたことがあります。

カラの混群が来たときに、「チュリ チュリ」、「チー」、「ジュクジュク」、「ギー」などの声に混じって「ニーニー」といった声が聞こえたらヤマガラがいるので、注意して見てみましょう。

2006年10月16日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事