つくばでバードウォッチング 片山 秀策 |
第27回 街の鳥になったヒヨドリ 冬至を過ぎても、最高気温が18度を越える日があったりと、暖冬の様子です。11月の気温も例年になく高めだったようで、野菜が育ちすぎて、生産過剰気味で価格が下がっています。正月過ぎには野菜が高くなるのではないでしょうか。 今月は、つくばの街の中で「ピー ピー」と五月蝿いヒヨドリを紹介しましょう。ツバキの花の蜜を吸って、顔を花粉で黄色くしたヒヨドリや、柿の木の上で取り残された柿の実をついばんでいるヒヨドリをみたことがあると思います。ヒヨドリは英名Brown-eared Bulbulといって、耳の部分が焦げ茶色になっている灰色のムクドリくらいの大きさの鳥で、木の実、花の蜜などが主食になっています。 ヒヨドリは、昔は山の鳥でしたが、近年は一年中街で暮らすようになってしまったようです。街中の街路樹や住宅の庭にピラカンサやセンリョウなど実の生る木が増えてきたからではないかと考えられます。 庭に知らないうちに、ネズミモチやクワなどの木が生えてくることがありますが、それはヒヨドリの仕業です。ヒヨドリが丸呑みした木の実の種が、糞と一緒に地面に落ちて芽が出てくるのです。樹木によっては、種子が鳥の胃腸を通過しなければ発芽しない種類もあって、ヒヨドリは種子散布の役割を果たしています。 つくば市の周辺の野菜畑では、大群でやってきて、葉ものの野菜を食べ、傷を付けてしまうので、害鳥になっていています。そのため、有害鳥獣駆除の対象になってしまっています。果樹園でも、熟して一番おいしい果実を食べるので、農家から嫌われています。 冬の餌の少ない時期に野鳥に給餌するために、庭にバードテーブルを設置する家があります。餌として、パンの耳を細かく切ったものや、リンゴやミカンを置いておくと、ヒヨドリがやってきます。そして、スズメやシジュウカラなどの鳥たちを、追い散らしてバードテーブルを占拠します。ヒヨドリは、バードテーブルにくる鳥の中で一番強いようです。 馴れてくると、投げたパン屑を空中キャッチしたり、窓をトントンとつついて餌を要求したりと、面白い鳥です。ヒヨドリは、身近にいる普通の野鳥ですから、公園のベンチや部屋の中から、仕草や行動をじっくり観察してみてください。 2007年1月4日 |
片山秀策さんのプロフィール |
死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。 日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事 |