ACCSキャンペーン
つくばもん
読み物
つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第32回 野鳥の営巣戦略

季節が巡り、青葉がまぶしい季節になりました。北の繁殖地に向かっている夏鳥が、つくば市を通過しています。つい先日も、桜の木の下を歩いていたら、頭の上でセンダイムシクイが「焼酎一杯グイ」と囀っていましたが、次の日にはきこえなくなりました。気がつかないうちに沢山の鳥たちが通り過ぎていきます。

つくば市内も公園や住宅地の外れの林や畑で、ウグイス、セッカ、ヒバリ、キジ、コジュケイなどの鳴き声が聞こえます。最近の住宅は遮音性が良くなったようで、屋外の音が聞こえにくいので、目覚めにちょっと窓を開けて見ると、野鳥の声が聞こえてきます。

5月も末になると、野鳥の子育てが最盛期になってきています。親鳥は、巣の雛のために一生懸命エサを運んでいます。飛んでいる鳥をよく見ていると、嘴に何かくわえているのが判ります。私の家の近くには、スズメ、ムクドリの巣があって、どこにいるのか大きな芋虫をくわえてきています。

野鳥は、カラスや猛禽から巣を守るために、ちゃっかりと人を利用しています。一番目立つのは、ツバメで、人の通る通路や、玄関の軒先に巣を作ります。つくば市内のガソリンスタンドやシネプレックスの軒下には、ツバメの巣が幾つもできています。

他の鳥たちは、人の近くに巣を作りますが、やはり人も怖いようで、巧妙に人に判らないようなところを選ぶようです。モズが私の自宅の窓から2m程の所にあるネズミモチの木の中に巣を作っていましたが、全く判りませんでした。キジバトは、木の中に巣作りするのですが、アパートのベランダのエアコンの室外機やプランターの陰に巣作りします。

ムクドリは、雨戸の戸袋の中に巣を作りますが、最近の家はシャッターが多くなったので、木の洞を探して巣作りしているようです。最近は猛禽も街中で営巣します。ツミは、キジバトほどの小さなタカですが、実はつくば市内の幾つかの公園で営巣しています。

住宅の色々な場所に巣作りする代表は、スズメでしょう。よく見ていると、想像もつかない場所にエサを運んでいますし、ヒナが親にエサをねだる声が聞こえてきます。軒下の換気口、空き家になっている家の換気扇のフードの中、屋根瓦の間、庭の伏せた植木鉢の中など多彩です。

つい最近、見つけたのは電力計のカバーの中というのもあります。最近の家はオール電化で電力計が大きくなっていて、カバーも大きいので十分な空間があるのでしょう。毎朝、散歩に出るときにスズメの雛の声がしていて、どこだろうと思っていたのですが、親鳥がエサを向いの家の電力計の中に運び込むのを見つけました。

あまり、真剣に見ているとカラスがそれを見ていて、ヒナが巣立つところ襲ったりしますので、知らない振りをして、通りすがりにチラッとみていると、とうとう、ヒナが巣立つところをみることができました。いつも持っているデジカメのズームを最大にして、離れたところからヒナを撮らせてもらいました。向いの家はよほどスズメに好かれているのか、他にも判っただけで、3ヶ所スズメの巣がありました。

このように注意していると、身近に野鳥の巣を見つけることができますが、じっくり観察するのは避けてください。恐ろしいカラスが、人を観察していているので、カラスに巣の位置を教えてしまうことになります。人がいなくなった後、巣を襲って、栄養価満点の他の鳥のヒナを自分のヒナのエサにしてしまいます。目の隅で、「あ!あそこにいるのか」と思いながら通り過ぎるのが一番です。

人家に巣を作られると、糞が洗濯物にかかるとか、ダニがでるといって嫌われます。でも、逆の発想で、野鳥が巣を作りたくなるほど、安全な家に住んでいるのだと思って、短期間ですので、暖かく見守ってほしいものです。

最後に、巣立ちビナを見つけても、勝手に保護しないでください。近くに親がいて人がいなくなるのを心配しながら見ています。巣立ちビナを見つけたときにどうしたらよいのかQ&A形式にまとめた「巣立ちビナ対応マニュアル」がありますので参考にしてください。

2007年5月23日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事

バックナンバー(2010年2月まで)へ