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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第37回 狩猟解禁につき注意

温かな日が続いていましたが、11月も下旬に入り急に寒くなってきました。洞峰沼や乙戸沼には、9月末頃からカモ達がやってきていましたが、ジョウビタキ、アオジなどつくば市に越冬に来る小鳥たちの訪れが例年より遅く感じていましたが、10月末ころから少しずつやってきました。

私の朝の散歩コースで「ヒッヒッ カッカッ」とジョウビタキや「チッ」とアオジが鳴いています。留鳥のウグイスも、「チャチャ チャチャ」と鳴き声が、「地鳴き」に変わりました。

東北、北陸など雪国で、は大雪になっているところも多いようです。雪が降り始めると、ハクチョウ類やツグミの仲間がエサを求めて南下してくるので、にぎやかになってくることででしょう。

バードウォッチャーは11月になると憂鬱になります。それは11月15日から狩猟が解禁になるからです。茨城県は、銃狩猟できる場所が多いことや、交通の便がよいことから、県内だけでなく首都圏からハンターがやってきて、カモや小鳥を銃で撃ち殺すからです。

自然保護への関心が高まりや高齢化が進み、狩猟人口は減少傾向にありますが、まだ全国で13万人のハンターがいます。多くのハンターは、遵法精神を持って狩猟しています。また、有害鳥獣駆除など、適正な野生鳥獣管理にも、猟友会のハンターが出動して、農業に被害を出すイノシシやカラスなどを捕獲しています。

しかし、少数の心ないハンターが、「誤射」ということで、天然記念物や保護鳥獣といった狩猟対象以外の動物を撃ったり、違法なわな猟をしていることが問題になっています。

また、銃猟ができる場所でも、道路や人家、電線などに向けて銃を撃つことが禁止されていたりしますが、守られないことがあります。散弾で電線が切れて停電したりといった事故も起こっています。猟銃の暴発や誤射で、怪我人や死者がでることもあります。実際にバードウォッチングしていて、アシ原を歩いていてハンターと出会ったりすると、ドキッとします。私は、目の前で、密猟を見つけて警察に届けたことがあります。

つくば市周辺は、近年「特定猟具使用禁止(又は制限)区域」(以前の「銃猟禁止(又は制限)区域」)が拡大の方向にありますが、市内の「筑波研究学園都市」と呼ばれているエリアの研究所と市街地は禁止区域ですが、住宅が多い場所でも禁止区域となっていません。今年、東海村は、住民の努力により全域が禁止区域となっています。

つくば市の中心部の「鳥獣保護区等位置図」を見て判るように、地図で赤く塗られている部分は「鳥獣保護区」で乙戸沼公園、牛久沼、筑波山となっています。この区域では、銃猟以外の狩猟は全て禁止されています。

青色の部分が「特定猟具使用禁止区域」で、銃猟が禁止されている区域です。それ以外の白色の部分は「乱場(らんば)」と呼ばれる狩猟が可能な区域となります。

地図を見て、私の家は銃猟禁止ではないと驚かれるひともいると思います。例えば、つくば市役所は、白地の部分にあり銃による狩猟が可能な区域になっています。でも、実際には狩猟が可能といっても、先に書いたように色々な制限があって、狩猟できる場所は狭いのです。

銃猟できない場所を、あえて「乱場」として残しておく必要はないと思いますが、市町村からの要望がなければ、変更がされません。住民が市町村長に強く要望することが必要です。

狩猟期間は、来年の2月15日まで続きますので、バードウォッチングの時に「乱場」のアシ原などに入らないように注意したいものです。茨城県全体の「鳥獣保護区等位置図」を見たい方は、県南地方総合事務所の環境保全課にご相談ください。

来月は、巣箱とえさ台について書こうと思っていますので、楽しみにしていてください。

2007年12月3日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事