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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第43回 悲しい話題

水戸市の千波湖のハクチョウ惨殺事件は、犯人の中学生が補導されました。殺した理由が「楽しかった」からというのは、非常に悲しい気持ちになります。

今年は、太平洋沿岸の各地の海岸で、ハシボソミズナギドリの若鳥の死体が大量に打ち上げられて話題になっています。ハシボソミズナギドリは、オーストラリアのタスマニア島で子育てをします。そこで巣立った若鳥は、オキアミを求めてオホーツク海へ渡をします。その間は、餌を食べないので、繁殖地で十分栄養を取れなかったり、途中嵐などにあって体力を消耗してしまうと死んでしまいます。その死体が、海岸に打ち上げられることが多いのです。

この時期は、海岸に行く人があまりいないのですが、千葉の九十九里浜や茨城の鹿島灘の砂浜に打ち上げられたハシボソミズナギドリを見ることがあります。また、低気圧が通った後に波崎漁港や銚子漁港に疲れ果てたハシボソミズナギドリの群が羽を休めている姿を見ることがあります。


砂浜に打ち上げられたハシボソミズナギドリ

つくば市内でも、木々の緑が濃さをましてきて初夏の装いとなって、野鳥の子育てが最盛期を迎えています。街の中で巣立ったばかりの幼鳥を見かけることが多くなってきました。でも、巣立った幼鳥が全て成鳥なることは非常に難しいようです。

注意してみていないと判らないのですが、経験がないために道路で餌を食べることに夢中になって車に轢かれたスズメやムクドリなどの死体を見ることがあります。特に、つくば市内は車のスピードが速いので、犠牲になる鳥が多いようです。


車に轢かれたスズメのヒナ

巣立ったばかりの幼鳥は、飛ぶ力が弱いのでタカやカラスの犠牲になることも多いようです。子育て中のカラスは、栄養満点の他の鳥のヒナを捕まえるために、巣の近くで巣立ちビナが飛び出すのを待っていることがあります。何時巣立つか判っているようです。

つくば市内でハシボソガラスの生態を調べている私の友人の話では、カラスの巣立ちビナもオオタカの餌になっているそうです。逆に、カラスがオオタカの巣を襲うこともあるようです。


オオタカが落としていったと思われるハシボソガラスのヒナ

人と違って親鳥が成鳥になるまで面倒を見ることはないので、巣立ったヒナは短期間親鳥が面倒を見てくれますが、直ぐに自分で餌を探して、外敵から身を守って暮らさなければなりません。ですから、成鳥になる確率は1%から2%位といわれています。生存競争は厳しいようです。

今回は、気持ちの悪い写真ばかりになりましたが、野鳥は可愛い、綺麗ばかりではなく、非常に厳しい生活をしていることも知って欲しいと思います。

毎年書いていますが、巣立ちビナを見つけても、勝手に保護しないでください。近くに親がいて人がいなくなるのを心配しながら見ています。巣立ちビナを見つけたときにどうしたらよいのかQ&A形式にまとめた 「巣立ちビナ対応マニュアル」がありますので参考にしてください。

最後に、我孫子市鳥の博物館では、我孫子市内で巣箱の中で子育て中のフクロウの様子をライブカメラで見せる試みをしています。興味ある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。 http://210.225.145.244/

2008年5月30日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事

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