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つくばでバードウォッチング 片山 秀策

第47回 観察した野鳥を記録する

10月も半ばを過ぎ、朝晩急に涼しさが増したようです。関東の山沿いでは紅葉が最盛期を迎えているようです。東北北陸各地の越冬地から、ハクチョウやカモ水鳥たちの到来のニュースが届き始めました。つくば市周辺の池沼ではカモ達がちらほらと姿を見せ始めています。あと一月もするとにぎやかになることでしょう。

ちょっと残念なのは、水鳥の運んでくる鳥インフルエンザを警戒して、各地で給餌の中止や鳥に人が近づくことを禁止する動きが始まったことです。春に青森県の十和田湖で見つかったオオハクチョウの死骸からH5亜型鳥インフルエンザウイルスが見つかったことから、過剰な反応といえます。

環境省は、「鳥インフルエンザのウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の特殊な場合を除いて、通常では人には感染しないと考えられています。日常生活においては、鳥の排泄物等に触れた後には手洗いとうがいをしていただければ、過度に心配する必要はありませんので、冷静な行動をお願いいたします。」とのコメントをだしています。

野生動物に給餌することの是非は別として、実際問題として、ハクチョウやカモに人が触れる距離まで近づくことはありませんから、心配ないと思います。ハクチョウやカモの死体を見つけたら触らず、県の自然保護関係部署や警察に連絡しておきましょう。

さて、今回は冬のバードウォッチング・シーズンの前に、バードウォッチングの道具で意外と大事なされないフィールド・ノート(野帳)について書きたいと思います。

フィールド・ノートは、バードウォッチングしたときの記録や感想を残すためのものです。記憶に残しておくだけでも良いのですけれど、簡単なメモがあると、後で非常に役に立つこともあります。役に立たなくても、古いフィールド・ノートを見ながら、初めて出会った鳥の感動を思い出すこともできるでしょう。

また、鳥の識別ができないときには、フィールド・ノートに特徴をメモしたり、簡単な絵を描いておくと、後で図鑑などで調べるときに役に立ちます。

フィールド・ノートは、ノートや手帳でも良いのですが、記録を続けていくことを考えると、できるだけ同じ形で、いつでも確実に手に入るものが選択の基本でしょう。

多くのバードウォッチャーは、写真のような測量用の野帳を愛用しています。測量用の野帳は、何十年も同じ形のものが使われていて、野外で非常に使いやすくなっています。

測量用の野帳は、大きさが作業服やシャツの胸ポケットに入るようにできていて、表紙が厚いので筆記しやすくできています。中の紙も、ノートや方眼になったものなどがあり、それぞれ人によって好みがあるようです。さらに、紙の種類も、普通の用紙の他に、雨や水の中でも使える合成紙のものなどがあります。最近は、カラフルな野帳も売られています。

写真の一番上から、一般的な野帳、再生紙を使った野帳、耐水性の野帳、カラフルな野帳です。野帳は、文具店にあります。

フィールド・ノートの書き方は、特に決まりはありません。日付、場所(周囲の環境)、観察時間、天候、見た鳥の名前や行動、虫や野草などの名前、感想などになります。その他、囀っていた、飛んでいたといった行動や、何を食べていたとか、カラーリングが脚に付いていたといった情報を書いておくこともあります。

フィールド・ノートでよく使う記号は、自分で決めていいのですが、おおよそ次のようにするのが多いようです。無理をせず、季節の変わり目など変化があるときに使う程度でいいと思います。

「S」はさえずり。オオヨシキリがアシの先で「ギョギョシ」と鳴いているときなど。
「C」は地鳴き。ウグイスなどが「チャチャ チャチャ」と鳴いているときなど。
「V」は姿は見ず鳴き声を聞いた。
「F」は飛んでいた。タカなどが上空を通過したときなど。
「J」は、幼鳥。「A」は成鳥。渡り鳥などで、若鳥が混じっているときなどに使います。
「sp.」は種が確定できないので「〜の仲間」という意味です。タカsp.のように書きます。
個体数は、種名の後にかき込みます。数え切れないほど多いときや数えることのできた鳥の他に藪の中にいて数えられなかったとき等には、「〜以上」という意味で数字の後ろに「+」を付けます。ハマシギ 300+のように書きます。

私の場合フィールド・ノートはメモで、整理は専用のソフトでパソコンでテキストデータとして保存しています。人によっては、別のノートに清書して保存している人もいます。

野鳥の観察記録をデータベース化するためのソフトは、日本野鳥の会のWeb版の「フィールドノート」やWindows用のソフト「バーディングジャーナル」などがあります。

もうひとつ、私がこだわっているのが筆記具です。鉛筆で野帳に記録する人が多いのですが、私は油性ボールペンを使っています。鉛筆は、野外で使うには非常に良い筆記具で、どんなに寒くても暑くても使えますし、保存性あります。でも、擦れに弱かったり、一度文字を書いたページの裏から文字を書くと次のページが汚くなります。私のようにいつもBとか2Bの鉛筆を使っていると非常に汚くなって、判読できないこともあります。それで、油性ボールペンにしているのです。ボールペンでも、水性、ゲルインクなどは、湿気でにじむので、野外での利用に向きません。

そこで探してきたのが、写真の油性ボールペンです。どちらも、インクに圧力がかかるようになっていて、天井向きに筆記することができますし、水の中でも書くことができるボールペンです。特に、写真下のボールペンは、「パワータンク(三菱鉛筆)」といって寒さにも強く氷点下20度近くでも筆記することができます。写真上のボールペンは、「エアープレス(トンボ鉛筆)」で軸が太く手袋をはいたままでも筆記できるのと、クリップがバインダークリップになっていて厚いものにも止めることができます。どちらも、野外での利用に適しています。

2008年10月31日

片山秀策さんのプロフィール


北海道で暮らしていた時に、庭に来る鳥を見てバードウォッチングに開眼して以来、野鳥の虜に。

死ぬまでに日本で記録のあった鳥を全部見たいと不可能な企てに挑戦中。

日本野鳥の会茨城支部会員、NPO宍塚の自然と歴史の会監事、つくば農林野鳥の会代表幹事

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