第21回 国際特急「タリス」でスト遭遇
「タリス」とは、ヨーロッパの主要な都市を走る高速列車で、フランス・ベルギー・オランダ・ドイツの4ヶ国を結ぶフランス新幹線TGVタイプの超特急です。ワインレッドの車体が美しく上品です。
デンハーグを後にして私達はこのタリスに乗り込みパリ北駅を経由してモンサンミッシェルの朝日から夕日までを堪能する旅に出ます。
タリスの1等は飛行機の機内食のようにお食事がつきます。飲み物も飲み放題!アルコールを飲まない私にはあまり特典ではありませんが・・・タリスは静かに走り出しました。
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私達はルンルン気分でした。汽車に乗るといつも折り紙で国際交流です。
ベルギー国の重要文化財になっているアントワープ駅を過ぎそろそろお昼を楽しみにしていました。ところが、通過地点のブリュッセルが次という時に、ベルギー鉄道がストに突入してしまいました。
パリからレンヌまでTGVに乗り(もちろん指定席を取ってあります)レンヌからモンサンミッシェルまでバスの予定です。パリでの乗り換え時間には万が一のことを予測して3時間を取ってありました。でも、ストはいつ解除になるかわかりません。ブリュッセルへ行く人達にはバスが手配されましたがパリへ向かう私達は待つしかありません。
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3時間の乗り換え時間がある私達はちょっと余裕でした。ウエイターのお兄さんは、お菓子、飲み物と、頻繁にサービスいっぱいでした。アルコールをたしなむ仲間は大喜びです。昼食のお味も美味でした。
しかし2時間半も経つとさすがに私も不安になります。モンサンミッシェルのホテルに10時までに入るよう連絡がありました。多少汽車が遅れてもあまり騒がない欧米人達も係りのお兄さんに尋ね始めます。
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私もホテルに連絡を取りたいと携帯を借りることを申し出ました。快く差し出してくれた彼へ更に甘えてフランス語でホテルのフロントにこの状況を説明してほしいとお願いしました。
彼はもちろんと言って私の要望に答えてくれました。そして「10時までにはホテルに着きますよ」との説明に私もほっとしました。しかし!汽車は更に1時間半も止まったままだったのです。
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当然予約をしているTGVには間に合いません。同乗していたベルギー在住の日本女性が「パリに到着後遅れた証明書を発行すると説明がありました」と教えてくれました。
パリ北駅に到着すると多くの乗客たちでごった返していました。とにかく証明書を発行してもらわなくては、たくさんの人人人!どうしたら良いのだろう????
でも、悩んでいる時間はなく、手当たり次第に聞くうちに発行している人に出会いました。
運良く証明書を手に入れた私達はタクシー乗り場に急ぎます。ここも行列です。
モンパルナス駅へ向かいます。渋滞のパリ市内をドライバーのハンドルさばきのすばらしいこと。
とにかくTGVに乗らないと先へは進めません。モンパルナス駅も大混雑です。女性の駅員に証明書を黄門様の印籠のごとく指し示して「レンヌ」「モンサンミッシェル」と繰り返しました。
マドモアゼルが私達を誘導してくれ、発車寸前のTGVに乗ることができました。
当然この汽車では私達の指定席のチケットは無効です。それでも私は車掌さんに食い下がることにしまた。
車掌さんは「マダムお気持ちはわかりますが、ストは私達フランスの鉄道に責任のないことです」と申し訳なさそうに私に伝えます。そこで、それは良く解っています。私達6人が一緒でなくて良いのでどこか座る場所を確保してほしいと伝えます。彼はバラバラで良いならともう一人の車掌さんと手分けして見つけてくれました。
6人用にコンパートメントに一つ席がありました。皆は、そこに入っていくのはいやだと言うので私がそこに座ることになりました。運命の場所でした。私の前で盛んにパソコンを使っている青年がいます。
彼が終わるのを見計らって、そのパソコンでインターネットができるのかどうか尋ねました。残念ながら、今は、インターネットは通じていないとの返事でしたが、彼は何故かと私に聞いてくれました。
実はかくかくしかじかと説明をしてレンヌでまだバスがあるかどうか知りたかったと伝えました。
すると彼は自分の携帯で調べてくれて、残念だがもうバスはないと教えてくれました。更に彼はレンヌからセントマロへ乗り継いでそこからタクシーで行く方法がベストだと教えてくれました。更に更に彼は電話でタクシーの予約までしてくれたのです。信じられないくらいこの成り行きに運の良さを感じていました。
彼は自分も、いろんな国に行って困ったことがたくさんあったので私達の気持ちが良く解るといってくれました。皆にこの成り行きを説明してやっとゆったりとしてレンヌまで腰を落ち着けることができました。
レンヌまで彼とメールアドレスを交換し、住所もお聞きして彼に私の一番下の孫と同じ年の息子がいること、奥さんが南米の方であることなど、雑談をしながらお茶までご馳走になってしまいました。
しかも、レンヌでは汽車まで誘導してくれました。ストのお陰で今回の旅でも良い人にめぐり会えました。
落ち着くと私の座った座席の番号が3時のTGVで乗るはずだった座席の番号だったのです。不思議です。

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セントマロに到着したのは9時です、もう暗くなりかけていました。駅に手配していただいたタクシーに乗り込みましたが、到着は10時過ぎになりそうです。運転手さんがホテルに連絡をしてくれました。今日はたくさんの人々の親切を受けた一日でした。
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そしてこのハンサムさんが私達の白馬の騎士アランです。
レンヌ駅に到着寸前にとった2ショット!
ぶらりの顔は旅の仲間で今回のコラムの写真提供者でもあるKさんの作品
「一笑一若」の作品からです。
今年もう一人のお子さんが生まれるそうで、生まれたら写真を送ってくれるそうなので楽しみにしています。こうした人との出会いも旅の楽しみのひとつです。
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この続きはまたの機会に
2006年1月16日
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