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ちあきの星空コラム

第183回  流星群は見られるか? (2018/10/04)

10月の流星群

10月になると、秋分も過ぎて夜の時間が長くなり、星空が見られる時間が長くなります。
秋の夜空の中、星空を眺めていると、ひとすじの光を放つ流星の姿を見ることがあります。流星を見た時は、何か得したような気持になりますが、10月にはふたつの流星群を見ることができます。

流星の写真

ひとつは、「10月りゅう座流星群」と呼ばれ、10月8日頃に極大を迎える流星群です。今年は10月9日09時に極大を迎える予報が出ており、10月8日の夜から9日の朝にかけて観測するといいでしょう。
この流星群は、9月10日に地球に最接近したジャコビニ、チンナー彗星が撒き散らしたチリ状の物質が地球に遭遇し、地球に引力によって地球に吸い込まれ、発光することによって見られる流星群なのです。
この彗星群は1972年には大流星群が出現すると予想され、大騒ぎになりましたが、残念ながらその時はほとんど流星を見ることができませんでした。
その後、1985年、1998年、それから2011年にある程度の出現がありました。
今年も期待が大きいところですが、はたしてたくさんの流星が出現するかどうか、みんなで注目したいものです。
もうひとつは、「オリオン座流星群」です。
極大日は10月22日で、母体となる水星は、有名なハレー彗星です。
ハレー彗星が通った軌道と地球の軌道が交差するところでハレー彗星から出て軌道上を漂っているチリ状の物質が流星となって地球に降り注いできます。
基本的に流星群の原理は、10月りゅう座流星群もオリオン座流星群も同じです。
オリオン座流星群の予報は、だいたい1時間に10個程度の流星が見られるだろうと予想されています。月齢的には満月に近く、月明かりがちょっと邪魔ともいえますが、寒さ対策をして夜空を駆ける流星の姿をぜひ、見ましょう。

まだまだ見られる火星と土星

7月に大接近した火星は、10月になっても宵の南の空にあって煌煌と輝き、肉眼ではどの星よりも明るく赤く見えますので、すぐにみつけることができます。
ほかの星々と色のちがいを見比べて確認しましょう。
天体望遠鏡で見ても赤い惑星として確認でき、形状は卵型に近い楕円形のように見え、大接近のときほどの大きさには見えませんが、比較的大きく、気流の具合が良ければ表面の模様も見ることができます。
土星はいて座の中にあり、夕空の南西の空に火星ほど明るくはありませんが、肉眼で十分明るく輝いて見えます。
しかも天体望遠鏡で見れば環が大きく傾いてはっきりとその輪の姿を確認することができます。
下図を参考にして位置を確認し、各惑星の姿をとらえましょう。
なお、各惑星の姿は、バックナンバーの8月掲載の181号をご覧ください。

10月15日午後6時半の南西付近の星空です。もう木星は低空で観測できませんが、この日は土星に月が接近していますので、とても美しい眺めとなることでしょう。火星は南の空にあるやぎ座の中にあり、赤く明るく輝いているので、すぐにみつけることができます。また、10月18日には月が火星に接近しますので、これも見逃せないでしょう。この星図は㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」から出力したものを使用しています。

月もきれいに見られる

10月の月は、夏に見た月よりも空気が澄んでいることに加え、高度が高く、すっきりと明快にその姿を見ることができます。
9月24日に中秋の名月は終わったものの、13夜の月(今年は10月21日)を後(のち)の月といい、日本では中秋の名月と同じように月を眺める風習が昔からありました。
この時期には栗や豆が収穫されることから別名を「栗名月」または「豆名月」と呼び、これらの農作物をお供えして東の空から昇る月を親しんできました。
天体望遠鏡で見ると、月はどの天体よりも明快で、くっきりと見ることができます。
晴れることを期待したいものです。

10月の星座

10月の星空は、9月よりも星空を長い時間見ることができるようになります。
それは、日の入りが早くなり、日の出の時刻が遅くなるからなのです。
星を見ることができる時間が長くなってきますので、早い時刻から星見ができるようになりますから、星座さがしもやりやすくなることでしょう。
ぜひ、じっくりと星座さがしを楽しみましょう。
南の空では、火星の輝くやぎ座をはじめ、その東側には秋の星座で唯一1等星の輝くみなみのうお座(1等星名=フォーマルハウト)があります。
この星をじっと眺めているのが好きな私は、時間のたつのも忘れて見続けることがしばしばあります。
みなみのうお座とつながっていて、南の高い位置にあるのがみずがめ座です。星の配列はあまり目立ちませんが、星図をたよりにさがしてみましょう。
天頂付近には、ぺガスス座をはじめ、アンドロメダ座、うお座などを見ることができます。
北の空にもカシオペヤ座、ケフェウス座、ペルセウス座などが見られ、秋の天の川と共に星が多く密集しています。
星座を覚えていると、天を仰いでおおまかに方位がわかりますし、流れ星が流れた時は、たとえば「くじら座からみずがめ座の方向に流れた」といった言い方ができ、大きな流星が流れたときなどはその位置がわかることによって、貴重な観測記録となる可能性も持っています。
ぜひ、星空の中に星座をみつけましょう。

10月の天文情報

曜日月齢天文現象など
21.4
22.4下弦の月 月の赤緯が最北
23.4
24.4
25.4
26.4月の距離が最近
27.4
28.4体育の日 寒露(二十四節気)
29.4新月 10月りゅう座流星群が極大 月が天の赤道を通過(南半球へ)
101.0
112.0
123.0
134.0
145.0
156.0月と土星が接近
167.0月の赤緯が最南
178.0下弦の月
189.0月と火星が大接近 月の距離が最遠
1910.0
2011.0
2112.0後の月(十三夜)
2213.0オリオン座流星群が極大
2314.0霜降(二十四節気) 月が天の赤道を通過(北半球へ)
2415.0
2516.0満月
2617.0
2718.0
2819.0
2920.0
3021.0月の赤緯が最北
3122.0

10月の星図

南の星空

10月の南の星空(背景黒)

10月の南の星空(背景白)

北の星空

10月の北の星空(背景黒)

10月の北の星空(背景白)

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の範囲によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ10」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男
1953年大分県生まれ

子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。

この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。

最近は、各地の星まつり等における天体写真コンテストの選者をつとめたり、天体写真教室や観望会の講師をつとめるかたわら、仲間と共同で建設した天体観測所(千葉県鴨川及び長野県東部町)や神津牧場天文台(群馬県下仁田町)に天体観測に出かけている。

主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。
茨城県龍ヶ崎市在住。