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ちあきの星空コラム

第231回 秋の星空が惑星でにぎやか (2022/10/04)

惑星を見よう!

先月も惑星の情報をお届けしましたが、今月はさらに見やすくなった惑星の情報をお知らせします。
10月に見やすい惑星は、土星、木星そして火星です。
秋の星座では、1等星が南の空に輝くみなみのうお座のフォーマルハウトただひとつで、それ以外の星座をかたちづくる星々は2等星以下の比較的暗い星なのですが、その空に1等級以上の明るさを持つ惑星が輝いていますからとても目立ちます。
初めて惑星を意識して星空を見る人々でも、すぐにその存在をみつけることができます。

肉眼で楽しむ

それでは、惑星をさがしてみましょう。
10月中旬、午後9時頃の南東方向の星空を示した星図を示します。

惑星の案内星図

この星図によると、土星は南南西、高度35度くらいの位置にあって、やぎ座の中で輝いていることがわかります。木星は南南東、高度は50度程度、うお座付近で輝いていることがわかります。さらに火星も東北東の空から昇ってきており、高度はまだ10度に満たない高さですが、おうし座の1等星アルデバランと共に明るく輝いています。時間がたつと高度が高くなってきます。
この星図を利用して惑星をみつけ、星座も含めてじっくり星々を眺めてみましょう。もちろん肉眼での観察です。惑星は星座をかたちづくる恒星よりも明るく、しかも連続して煌々と輝いています。恒星はキラキラとまたたきながら輝いているように見られますが、惑星は静かに、しかし力強く輝いていて、恒星とのちがいを発見することができます。

天体望遠鏡で楽しむ

次に天体望遠鏡ではどのように見られるのでしょうか。
土星は環が見られることで有名ですが、下の写真をご覧ください。先月号の写真に比べると画像が小さく、しかも解像力でも劣っているように見えますが、一般的に天体望遠鏡で見た土星の姿は、ここに示した写真のように見えます。
次に木星ですが、木星も先月号の写真に比べたら鮮明ではないように見えますが、一般的にはこの程度の見え方が標準です。
次にもうひとつ木星の写真を掲げていますが、これは、木星の周囲に木星の衛星が小型天体望遠鏡でも4個見えることからその姿を撮影した写真です。衛星は4個見られ、ガリレオ・ガリレイが天体望遠鏡を使って発見しましたので、ガリレオ衛星と呼ばれています。
火星は、地球に最接近するのが今年の12月1日です。接近するにしたがって、だんだんと大きく見えるようになります。
表面は、赤茶色に見られ、黒っぽい模様も確認できます。

土星

木星

木星と4個のガリレオ衛星(撮影:浦辺守)

火星

「後(のち)の月」もお祭りを!

今年の中秋の名月は9月10日でしたが、日本では翌月に見られる13夜の月も名月として、農作物(栗や豆など)をお供えしてお祝いをします。「後の月」と呼ばれています。
今年は、その旧暦9月13日は10月8日に相当し、この日に後の月としてお供え物をして月を鑑賞する風習が残っています。ぜひ、鑑賞しましょう。

惑星の情報

今月は、惑星を主に取り上げていますので、ここでは水星と金星のみ情報をお知らせします。

水星

水星は10月9日に西方最大離角になり、明け方の東の空に見ることができます。
およそ10月20日頃まではみつけやすく、それ以降はだんだんと太陽に近づいて、みつけにくくなります。(明るさ1.4等~-(マイナス)1.2等)

金星

10月23日に外合となります。つまり、地球から見て太陽の向こう側に位置することになりますので観測には適していません。この外合によって、それまでは明けの明星と呼ばれていた金星は、これ以降、宵の明星となってきます。じっさいに宵の西空で見やすくなるのは来年の1月以降になります。

10月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
5.2
6.2
7.2上弦の月 月の赤緯が最南
8.2
9.2月の距離が最近 月と土星が並ぶ
10.2月と土星が最接近
11.2
12.2寒露(二十四節気) 後の月(十三夜) 月と木星が接近
13.2水星が西方最大離角 月が天の赤道を通過北半球へ
1014.2スポーツの日 満月
1115.2
1216.2
1317.2
1418.2月と火星が並ぶ
1519.2月が火星に最接近
1620.2月の赤緯が最北
1721.2月の距離が最遠
1822.2下弦の月
1923.2
2024.2
2125.2金星が外合
2226.2オリオン座流星群が極大
2327.2霜降(二十四節気)  月が天の赤道を通過南半球へ
2428.2
2529.2新月
260.7
27 1.7
28 2.7
293.7
30 4.7月の赤緯が最北
315.7
10月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

10月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。このコラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ11」を使用しています。星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では副台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。