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ちあきの星空コラム

第250回 春には天の川は見られない? (2024/05/01)

アメリカで皆既日食を見てきました!

先月のコラムでも速報で途中からお伝えしましたが、今回の皆既日食は、アメリカなどで4月8日(日本時間の4月9日)に見られました。
日食が見られた範囲は、北米のメキシコ、アメリカそれにカナダなどで、日本からは見ることができませんでしたのでアメリカに出かけました。
アメリカテキサス州ダラスに4月5日に到着し、観光などを楽しみながら観測準備を行い、ダラス郊外で4月8日昼過ぎに皆既日食を見ることができました。
当日のお天気は、前日までの好天が嘘のような朝からの曇り空でしたが、部分日食の始まる昼過ぎには、次第に雲間から太陽が覗くようになり、日食の現象を見ることができました。日食の撮影では雲間からの撮影が続きましたが、皆既日食(全面的に太陽の光球面が月に隠される現象)となってからの約3分間は雲も薄く、無事にコロナやプロミネンスの撮影に成功しました。

日食の進行

紅炎(プロミネンス)の様子:肉眼では濃い赤い色に見えました

空の状況と撮影の様子

今回は、日本からも多くの日食ファンがメキシコやアメリカへ観測に出かけたようですが、天候に恵まれて無事に日食を楽しむことができた地域が多かったようです。
ところで、今後見られる日食ですが、日本で見られる皆既日食及び金環日食は、次の表のとおりです。これからも事前に計画を立てて、それぞれの日食が見られるように祈りたいと思います。
皆様もぜひ、今後の日食をお楽しみください。
今後、日本国内で見られる皆既日食など
年月日食の区分日食が見られる地域
2030年6月1日金環日食北海道ほぼ全域
2035年9月2日皆既日食北陸~関東北部
2041年10月25日金環日食北陸~東海地方
2042年4月20日皆既日食鳥島
2063年8月24日皆既日食北海道南部・青森県
2070年4月11日皆既日食沖縄近海~小笠原諸島近海
2074年1月27日金環日食屋久島・種子島・九州南部
2085年6月22日金環日食沖縄本島・北大東島・南大東島
2089年10月4日皆既日食尖閣諸島・宮古島の一部
2095年11月27日金環日食中国・四国・近畿地方南部・小笠原諸島

春には天の川は見られない?

5月ともなると、冬の星座は西の空に沈んで空一面が春の星座で埋めつくされます。
ところで、天の川というと夏の空を思い起こしますが、先日友人から「ゴールデンウィークにキャンプをするのだが、春の星座や天の川を見たい」と問われました。
天の川といえば、七夕伝説の織姫星と彦星の間を流れる天の川の話などで、多くの人々がその存在を知っているのですが、じっさいには見たことがない人も多くいます。
夏の星座の中の七夕伝説の天の川や、秋のカシオペヤ座付近の天の川の輝きなど、天の川の印象は人々に良い印象を持ってとらえられていますが実際の季節の中では、天の川はいつも見られるものでもありません。
星座早見盤で調べてみますと、夏の星座の中には、さそり座付近から天の川が描かれ、秋の星座の中ではカシオペヤ座やペルセウス座付近に天の川が描かれています。冬の星座の中にもいっかくじゅう座付近に天の川が描かれていますが、春の星座には天の川が描かれていません。
つまり、春の星座の中には天の川が見られないというのが正しい答えなのです。
次に掲げる国立天文台の星図を見ても春の星座の中に天の川の表現が見当たりません。
では、春の季節には天の川は見られないのかというと、答えとしては、「見ることができます」となります。
というのは、5月には私たちが一般的に星空を眺める午後8~9時ころには春の星座が夜空に見られ、その星空の中には天の川が確かにありませんが、時刻が経過し、深夜の12時あるいはそれ以降の時刻(未明)になると、日周運動によって星空の見える領域が変化し、東の空から夏の星座が見られるようになります。その結果、春の季節でも深夜に星見をすれば夏の星座が見られ、夏の天の川が見られるようになるということなのです。
たしかに春の星座の中には天の川がないのは事実ですが、深夜に星空を眺めれば(光害の少ない地域では)夏の星座の中に天の川を見ることができるということになるのです。

5月の星空(国立天文台天文情報センター)

5月の惑星

水星

5月10日に西方最大離角を迎え、明け方の東の空で観測好機となります。
(明るさ1.0~0.7等級)

金星

6月5日に外合を迎えますので、5月は観測不適となります。
(明るさ-3.9~-4.0等級)

火星

2025年1月に地球に接近しますが、今はみずがめ座からうお座に見られます。5月5日には日中ですが、火星食が見られます(天体望遠鏡などの観測器具が必要です)。
(明るさ1.1~1.1等級)

木星

5月19日に合となりますので、観測不適といえます。
(-1.9~-1.8等級)

土星

明け方の南東の空で輝いています。みずがめ座の中にあります。
(1.2~1.2等級)

5月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
22.4八十八夜 下弦の月
23.4
24.4憲法記念日
25.4みどりの日 明け方細い月と土星が最接近
26.4こどもの日 立夏(二十四節気) 明け方細い月と火星が接近
27.4休日 月の距離が最近 明け方細い月と水星が接近
28.4
29.4新月
1.0月が木星に最接近
102.0水星が西方最大離角
113.0月の赤緯が最北
124.0
135.0
146.0
157.0上弦の月
168.0
179.0
1810.0月の距離が最遠
1911.0月が天の赤道を通過南半球へ
2012.0小満(二十四節気)
2113.0
2214.0
2315.0満月(フラワームーン)
2416.0
2517.0
2618.0月の赤緯が最南
2719.0
2820.0
2921.0
3022.0
3123.0下弦の月 月が土星に最接近
5月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。