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ちあきの星空コラム

第268回 ビーバームーンを見る (2025/10/30)

11月5日のビーバームーン(満月)は、今年最大の満月

今年は9月8日の満月で皆既月食が見られ、10月6日の15夜が中秋の名月(満月は10月7日)そして11月5日の満月は、今年見える満月の中で最も大きく見える満月なのです。

地球の周りを公転している月は、その軌道が楕円軌道となっており、満月の時の大きさは毎月違っていますが、今年は11月の満月が一番大きく見えます。
1年の中で最も大きく見える満月のことを天文用語ではありませんが、最近ではスーパームーンと呼びます。この満月は1年の中で最も地球に近づいている満月ともいえます。

また、11月の満月のことを、アメリカでは「ビーバームーン」(ビーバームーン=毛皮を得るため、ビーバーの捕獲をするころという由来)と呼んでいますが、最近では日本でもこの呼び名で呼ぶことも多くなっています。全国的に晴れの多いこの季節では、満月の見られるチャンスでもあります。スーパームーンとなるビーバームーンをぜひ観察してみましょう。

ところで、1年で最も小さく見える満月はミニマムムーンと呼ばれ、今年は4月13日の満月がそうでした。今年の4月のコラムをバックナンバーからご確認ください。
次の写真は、スーパームーンとミニマムムーンの見た目の大きさの違いを示す写真となっています。

ミニマムムーンとスーパームーンの大きさ比較、右がスーパームーン(撮影:浦辺守)

ミニマムムーンとスーパームーンの大きさ比較、右がスーパームーン(撮影:浦辺守)

土星の環が消えるか?

土星は、みずがめ座の中に輝いて見えますが、11月は観測の条件が良く、土星本体と細い環の姿を天体望遠鏡で見ることをおすすめします。

その土星の環ですが、土星は太陽の周りを30年周期で公転しています。土星の環は、公転面に対して傾きを持っているために、地球から見ると30年間の間に2回環を真横から眺める年があります。つまり、15年おきに環が細くなる状態を観察できることとなります。

今年はちょうどその環が細く見える年に該当し、今年の3月23日には完全に環を真横から見ることとなって、まるで、環が消失したような現象となったのですが、11月後半には環が準消失の状態で見られるかもしれません。11月下旬から12月上旬の頃まで環が見られない可能性もありますので、ぜひ、天体望遠鏡で確認したいものです。

土星の環が開いて見えるときの形状とほぼ真横に近い位置から見える形状。今年は右側の環がほぼ見えない形状に近い。なお、この写真は本年3月号、5月号でも掲載している写真です(撮影:石川勝也)。

11月の惑星

水星

11月20日に内合となり、地球と太陽の間にはさまれた位置となりますので見ることができません。今月は観察には不向きです。
(-0.2等~-0.2等)

金星

明けの明星として、日の出の直前に東の低空に見ることができます。
とても明るいので、東天の低空が晴れ渡っていれば日の出前に確認することができます。
(明るさ-3.9~-3.9等級)

火星

日没直後に西の低空に見られますが、条件は良くありません。
来年1月には合となりますので、実質的には観察はむずかしくなります。
(明るさ1.5~1.3等級)

木星

深夜に東の空から昇ってきます。そのあとは夜明けまで観察することができます。
(-2.2~-2.4等級)

土星

夕空から見られます。位置は秋の星座のみずがめ座の中にひときわ明るく輝く星がありますので、すぐにみつけることができます。
天体望遠鏡でも見えるか見えないかといった細い環を観察してみましょう。
(0.9~1.1等級)

11月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
10.6
11.6後の月(十三夜) 月と土星が接近 月が天の赤道を通過、北半球へ
12.6文化の日
13.6
14.6満月(ビーバームーン、本年最大の満月スーパームーン)
15.6月とプレアデス星団が最接近 月の距離が最近
16.6立冬(二十四節気)  プレアデス星団の食
17.6月の赤緯が最北
18.6
1019.6月と木星が並ぶ
1120.6
1221.6下弦の月
1322.6水星と火星が接近
1423.6
1524.6月が天の赤道を通過、南半球へ
1625.6
1726.6
1827.6しし座流星群が極大
1928.6明け方細い月と金星が並ぶ
2029.6新月 月の距離が最遠
210.8月が火星に接近
221.8小雪(二十四節気)
232.8勤労感謝の日 月の赤緯が最南
243.8振替休日
254.8水星と金星が最接近
265.8
276.8
287.8上弦の月
298.8月と土星が接近
309.8月が天の赤道を通過、北半球へ

11月の星空案内図

南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

11月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
本コラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。