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ちあきの星空コラム

第269回 冬の星座 (2025/12/01)

12月に見られる星々は冬の星座

12月の夜空では、冬の星座が見られます。
この時期は晴天率が高く、寒い季節ではありますが星座探しにもってこいの日が多くなります。

12月22日に冬至をむかえますが、1年で最も夜が長い時期となります。夕闇がせまって空に星が見えるようになる午後5時過ぎには、西の空にまだ夏の大三角が見られます。南から東にかけては秋の星座が見られます。時間が経過して夜9時を過ぎるころになると、秋の星座がだんだんと西の空に移動して、冬の星座が東の空からにぎやかに昇ってまいります。

冬の星座の代表格オリオン座の星々はとても明るく、中心部には三ツ星があります。三ツ星に注目してみましょう。三ツ星はほぼ真東の空から3個の星が縦に並んで昇ってくる様子を見ることができます。やがて、時間が経過するとオリオン座全体の姿が東の空に登場します。

オリオン座がみつかったら、次はおうし座をさがしましょう。この時期、オリオン座の右側(西側)に見えるのですが、おうし座には肉眼で見ることができるヒヤデス星団とプレアデス星団があり、ヒヤデス星団の中には1等星のアルデバランもあり、星の配列もアルファベットのV字形に並んでいるので、すぐにみつけることができます。また、プレアデス星団は、和名を「すばる」といい、平安時代に書かれた清少納言の枕草子にも登場します。星が集まっていて肉眼で6個くらいのかたまりに見えるとてもかわいらしい星の集団です。

冬の星空

おうし座がみつかったら、さらにオリオン座の周囲の星座もさがしてみましょう。
秋の星座では1等星はみなみのうお座のフォーマルハウトのみ、たった1個なのですが、冬の星座には1等星が7個も見られ、とても賑やかなに感じます。
木星が輝くふたご座、そして冬の大三角を構成するオリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオンそれにおおいぬ座のシリウス(いずれも1等星)をさがし、それぞれの星座の形も確認しましょう。

ふたご座流星群に注目

今年のふたご座流星群は、12月14日をピークに13~15日の夜に観察するといいでしょう。今年は障害となる月のかりの影響もなく、晴れさえすれば良い条件の流星観測が楽しめます。
寒さ対策をして、冬の星空の中を横切るように流れる流星を楽しみましょう。
星空を見上げて観察するのですから、冬の星座をみつけたり、流れ星のそれぞれの明るさと星座の星との明るさとを比較したりしながら楽しんで観察してみるといいでしょう。

土星と木星を見よう

12月には木星と土星が見やすい位置にあり、観測が楽しめます。
土星はみずがめ座の中にあり、西の空の中で他の星よりも輝いて見えますので、地平線に沈む前に細くなった環を天体望遠鏡で確認しましょう。
木星は、とても明るく輝き、天体望遠鏡で観察すると、全体がガスでできているので表面模様が見られます。さらに木星の周囲には4個のガリレオ衛星も見られ、天体望遠鏡で眺めても飽きることなく、楽しめます。

環が細く見えている土星の姿(撮影:疋田純之)

木星の姿(撮影:浦辺守)

12月の惑星

水星

12月8日に西方最大離角となり、明け方の南東の空に見ることができます。
肉眼で見ることが可能です。
(0.0等~-0.5等)

金星

明けの明星として、日の出前に東の低空にかろうじて見ることができます。といっても来年1月7日に外合となりますので、観測には不適といえます。
(明るさ-3.9~-4.0等級)

火星

来年1月9日に合となり、太陽のある方向にありますので、観測不適です。
(明るさ1.3~1.2等級)

木星

日没後に東の空から昇ってきます。ふたご座にありますが、ふたご座の1等星ポルックスに比べても問題にならないくらいに明るく、天体望遠鏡で見れば、表面の模様やガリレオ衛星などを観察できます。
(-2.4~-2.5等級)

土星

日没後は、秋の星座みずがめ座の中にひときわ明るく輝くので、すぐにみつかります。細くなった環の見え方に注目して天体望遠鏡で観察してみましょう。
(1.1~1.2等級)

12月の天文情報

(月齢は正午の値)

曜日月齢天文現象など
10.8
11.8
12.8
13.8月の距離が最近
14.8満月(コールドムーン)
15.8月の赤緯が最北
16.8大雪(二十四節気)  月と木星が接近
17.8水星が西方最大離角 月とプレセペ星団が接近
18.8
1019.8
1120.8
1221.8下弦の月
1322.8
1423.8ふたご座流星群が極大
1524.8木星とポルックスが最接近
1625.8
1726.8月の距離が最遠
1827.8月が水星に最接近
1928.8
200.1新月
211.1
222.1冬至(二十四節気)
233.1こぐま座流星群が極大
244.1
255.1
266.1
277.1月と土星が並ぶ 月が天の赤道を通過、北半球へ
288.1上弦の月
299.1
3010.1
3111.1プレアデス星団の食
12月の星空案内図
南の星空

背景黒

背景白

北の星空

背景黒

背景白

12月の中旬、午後9時ころの星空です。南の空と北の空の星図がありますので、観察する空の方向によって使い分けましょう。この星図では月明かりの影響はカットし、月の姿も表現していません。
本コラムの中で使用する星図は、㈱アストロアーツの許諾を受け、天文ソフト「ステラナビゲータ12」を使用しています。
星図をクリックすると大きい星図になりますので、プリントアウトして星座さがしに活用しましょう。
田中千秋氏の略歴

田中千秋(たなかちあき) 男 1953年大分県生まれ
子供の頃、オリオン座の日周運動に気がついたことから星に興味をもち、その後、中学生時代に天体望遠鏡を自作して天体観測や天体写真撮影を始め、以来、現在まで天体写真を継続して撮り続けている。
この間、各天文誌の天体写真コンテストに入選。天文雑誌での天体写真撮影の啓蒙記事を幾度も連載、また、天文雑誌「星ナビ」の前身である「スカイウオッチャー」誌でのフォトコンテストの選者もつとめた。
最近は、足立区にあるギャラクシティまるちたいけんドーム(プラネタリウム)で星空の案内を行うほか、各地で天文に関する講演会や星空観察会を催している。
さらに、仲間と共同で運営している神津牧場天文台(群馬県下仁田町)では天文台長を務めている。
主な著書に、「図説天体写真入門」、「図説天体望遠鏡入門」(いずれも立風書房刊)がある。 茨城県龍ヶ崎市在住。